目抜き通りの画廊
ビルの老朽化に伴って、テナントの整理を考えたオーナー夫妻より、永年営んできた画廊だけを残して、これからの生活ペースにあった器をとご依頼を受けました。モダンな洋館をモチーフとした佇まいとして街路との調和を目指しました。
先行き不透明な昨今、大きな事業となると万が一の場合、ご子息の負担も増えるだろうと、建物は管理し易い、コンパクトな設計として、コストも限りなく抑えたいとのことでした。計画地は防火地域であるので基本的には鉄骨造か鉄筋コンクリート造になります。しかしながらコンパクトな設計では建物単価が膨大になります。思案した結果、木造2×4の外壁にALC板を張ることで耐火認定の取れる特殊な工法を採用することでコストを抑えることとしました。お年を召された作家さん達が楽に搬入が出来る様に1階を画廊として、2階は賃貸としました。床面積に限りあるので天井の高さを上げる事で開放感を出して、カバーをしました。
かつてこの通りが栄えていた頃、オーナーのビルの吹き抜けにはシャンデリアが輝きを放っていました。その輝きを継承するかのように、エントランスには真新しいシャンデリアも設えました。
プレオープン初日、お馴染みの作家さん達を招いてのパーティーを行なったのですが、通りを歩いていた一般の方の飛び込み来場が多かったのが印象的でした。街がまた輝きだしそうな予感です。
古きよき昭和の時代、街で一番の賑わいを博したこの通り、昭和初期、日本の大工さんがこしらえたモダンな洋館をモチーフとした佇まいとして街路との調和を目指しました。今は真新しい外観ですが、月日を重ね、エイジングにより、味わい深いものとなってゆくことでしょう。最後までお読みいただきありがとうございました。