イメージは沖縄の古民家
明るく、暖かく、開放的でどこか懐かしい、木のぬくもり、土間の優しさ、座敷の落ち着き、といったキーワードを元に計画をしました。 奥様がしたためられた沖縄の住宅のスクラップを拝見しながら考えました。
沖縄の開放的で暖かい古民家をそのまま取り込めば、どうしても冬が寒くなってしまいます。和風テイストが感じられる現代住宅となれば思いつくのが「蔵」のイメージ。でも、蔵の持つ重厚感は明るいSさんご家族には馴染みません。「軽からず、重すぎず」というバランス感覚が要求されました。
最初の案は建物周囲をハイウォールで囲い、ハイウォールからの門をくぐり、玄関に着くという、古民家ライクな計画でした。「中庭でキャッチボールが出来るぞ」とご主人が笑顔になる程、広かったのですが社交的なご家族でもあるので、もう少し外部とのコミュニュケーションをとる為にもそこまで囲わなくてもいいかなということでオープンスペースとクローズドスペースを明確に分けることにしました。
完成した案は外観は蔵風としましたが生成り色を基調として、木の自然な風合い醸し出すようにしました。1階には深く張り出た軒先を伝い、自然と玄関へ導きます。玄関引戸を開くと、広い土間が開けます。土間では粘土をこねたり、秋刀魚を焼いたり?奥様が思い描いていた楽しみが広がります。
土間よこには小上がりの座敷があり、ご両親のお泊りに、仲間との集いに活躍です。土間正面は大容量の納戸です。スポーツ用品、車関係の工具類などが入ります。
幅の広い式台から居間へ上がります。
居間と土間を仕切る引戸を引き込めば、LDK+土間+座敷の開放的な広がりが生まれます。リビングには大開口の引戸があり、全て引き込むことでウッドデッキと一体になります。ウッドデッキはハイウォールで囲まれているので、全くのプライベート空間になり、キャッチボールは出来ませんが?カーテンで締め切ることはないでしょう。
対面式のカウンターキッチンでは朝食を摂ることが出来ますが、その横で学習も出来るように学習カウンターに連続しております。キッチンの床を食堂より下げ、目線の高さを近くして、家族間のコミュニュケーションを取りやすくしました。
キッチンセット、台所収納、脱衣収納は家具職人さんの手によるものでお手持ちの道具や家電製品のサイズにジャストフィットするようになっております。
バスタイムも楽しくしたいものです。今回もテラス窓にして外部に直接出れるようにしました。ルーバー窓を閉めることで露天風呂感覚で楽しめ、夏はこの窓を開くことでプール代わりにも楽しめます。
2階は家族と共に成長するスペースです。最初は家族一緒に休むことが出来る大きな部屋と遊べるオープンスペースのふたつだけのおおらかな造りとして、お子様の成長したら子供室に分けて、オープンスペースを夫婦寝室へと仕切ります。
吹抜にはキャットウォークがあり、物干しスペースとなっております。採光用の大きな窓を使って上手に乾かします。乾かした後は横の納戸にそのまま収納します。耐震性、機能性と性能ばかりが先行しがちな昨今の住宅ですが、アクティブなSさんご家族が健やか過ごせるような、おおらかで温かみのある空間になりました。
最後までお読み頂きありがとうございました。