サンダーバードはうす

趣味を愉しみ、自分を膨らませる達人

某、大手電機メーカーでエンジニアとして長年働いているFさんは工場内の大きなプラント製造ラインの保守点検といった業務をこなしており、会社近くの賃貸住宅から徒歩や自転車で通う生活をしていました。40代後半に差し掛かったFさんは、仕事と生活の拠点である小田原にそろそろ根を下ろそうと、家を建てようと思い立ち、ハウスメーカーも回ったけどもう少し、着心地のよい家が無いかとネットで検索していたところ、弊社のHPを見てご相談に来られました。


これからも充実した毎日を送るために

「土地を買って家を建てる」という行為は人生で最大の出費であり、
住宅ローンという大きな借り入れをすることで住み始めてからも、背中にズッシリと経済的な負担がのしかかってきます。独身のFさんは大きな財産を残す必要も無いことや、これからもずっと人生の冒険を続けて行きたいことからも負担の少ない住まいづくりがご希望でした。


なんとなくそろそろ

後日談になりますが、九州出身のFさんは、許せる限り、お盆や正月に故郷に帰られます。どこかへ遊びに行かれた際にも名産品のお土産をくださいました。
Fさんからの電話を受ける時は、「○○のFですが」と居住中の地名の後に苗字を名乗られ、昔の良い風習を大切にされていました。そんな律儀で礼儀正しいFさん、ご実家のご両親を安心させたいことや、ご自身の気持ちを引き締める意味でも「家を所有するコト」の意味が大事だったのだと思いました。

三角の土地

ご相談に来られて、数週間後、Fさんより掘出し物の土地情報が出たとのことで再度お見えになりました。土地図面をみると見事な三角形。どうやら開発分譲地の区画割で余ってしまった土地のようです。たとえるなら「パンの耳」のような土地。価格もFさんのほぼ希望価格でした。パンの耳でもラスクにしたらとても美味しいように、三角でも希望の住まいになることを説明し、Fさんとの設計が始まりました。

 

今の興味は航空ショー

Fさんは趣味が豊富。設計の依頼を受けてから毎回の打合せの度に、様々なアソビの話しを
聞かせてくださいます。
国産逆輸入車のピックアップトラックにオフロードバイクを載せて、
車が入れない場所までトラックで移動し、そこから先はバイクで冒険する旅というのをよくやっていたといいます。地方の空港は駐車場が無料なので、そこへトラックを止めてバイクで移動なって裏ワザも教えてくださいました。
最近は自衛隊の航空ショーへ行き、間近で戦闘機が突き抜けてゆく様を体感することです。
そんなFさんですから、設計の打合せは決まって土曜日の午前中。
午後と日曜日はアソビに出かけるために、、、



なかまとの大事な時間
仕事を通じて趣味が一緒の友人のたくさんいらっしゃいます。
家を建てる前に神主さんにお願いして地鎮祭を行いましたが、
建主の家族としてご友人2名が加わり、実に微笑ましい儀式になりました。
建てるのなら本人と同じくらい友人もゆっくり寛げる空間を希望されました。
鍋パーティーやったり、そと出のイベントが雨の日で中止になった替わりに集まる場所に使ったり、欲しかったのは「大人の溜まり場」だったのかも知れません。


決められる」ではなく自分で「決めた予算」で建てる

叶えたかったコトは大きな車とバイクと自転車が家の中に入り、それを見渡せるホビールームをつくること。それとLDKと寝室と座敷でした。収入上限の「決められた予算」というより、ゆとりの「決めた予算」で満足の家を建てたいのがFさん流。設計者としてはそれ以上の提案を思い、LDKを高い天井にして屋上をつけてみました。縦方向に開放性を持たせることで大柄なFさんでも伸び伸び暮らして頂ければと思いました。
付近に高速道路が走るので騒音防止と地球温暖化による暑さ対策も講じました。セルロースファイバーの内断熱と発泡ウレタンのダブル断熱を採用し、防音と冷暖房効率を上げました。Fさんの希望でLDKと和室の窓には可変ルーバー電動シャッター雨戸を採用しました。雨戸がブラインドのようにスラットの角度を電動で変化させることで光りを遮蔽します。強度も強く、防犯にも効果的なので、夏の日でも風を通しながら快適に休むことが出来ます。


北側はサービスヤードに西側はゲストパーキングに    ガレージと手付かずのホビールーム


 


屋上に続く階段を取り入れ、天井も高く開放的なLDK

 

LDK+座敷で不意の来客も許容します


電動ルーバーシャッター

川を切り取る窓

ダブル断熱

サンダーバードのような家

お引渡し後、10ヵ月後にお邪魔したところ、相当楽しそうに暮らしているFさんがいました。洗面脱衣室の入口には銭湯の暖簾が下がり、洗濯干しスペースや小物類も上手に収納されておりました。ガレージはリモコンでガレージドアが開閉が出来て、内部の照明はセンサーで点灯し、排気ガス用換気扇が自動的に回り、トラックをストレス無く出動出来るようでした。朝はLDKの可変ルーバー電動シャッター雨戸をボタンひとつで開き、朝陽を招きます。あれこれ考えているのでホビールームまだ手付かずとのことでした。きっと厳選された楽しいものに囲まれた部屋になることでしょう。

今日も、小田原飯泉観音のダルマ市で一番小さなダルマから買い始めたダルマを毎年買ううちに、まるでペットのような大きさになって見守ります。

囲炉裏風コタツの上で南部鉄器瓶でお茶を沸かしてもてなしを受けながら、
そう、これは男子の叶えたかった家のひとつ、サンダーバードやマジンガーZをオマージュした家なのだ。こんな風に人生を一周回るのもいいなと思えました。

椅子が仕舞える洗面台はFさんのリクエスト屋上でも鍋パーティー

 


神奈川県小田原市
2014.6
1階床面積 42.23㎡
2階床面積 43.06㎡
PH床面積 2.48㎡
延床面積 87.77㎡
建築費の目安
 1500~2000万円+別途設計料(建築費の13%)


 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 


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