本当の自分に帰れる場所

ご両親が40年前に建て、増改築をしながら丁寧に住まわれているご自宅を、 ご両親が更に使い易く、
毎日が気持ちよく過ごせるような工夫と佇まいを実現したい とのことでご子息のAさんが事務所に相談に来られました。
日常的に綺麗に住まわれているので特段リフォームは必要ないと、 ご両親からは言われていたのでしたが、Aさんの感謝の想いの強さが今回の実現となりました。


主なリフォームは2階。廊下や階段、個室の壁と天井のビニールクロスが剥がれ床の絨毯も年季が入っていました。
父母の部屋はこういった内装をやり替えるに留め、洗面化粧台や便所、Aさんの個室は雰囲気を持たせたいとの ご要望でした。


Aさんの部屋は綺麗に整理されているのですが、絶対的な収納量が足りなくなっているために

室内に 普段使わないものが露出してしまってすこし落ち着かないといいます。



そのようなことなので、仕事から帰り、就寝までの時間は部屋の明かりを消し、机 の上のほのかなスタンドをぼんやり眺めているそうです。
余計なモノが暗闇に隠れ、落ち着きある空間で気に入っていたので、 今回のリフォームで収納力を増やしてスッキリさせたいとのことでした。


西陽が強い水回りにはヨシズを張るなどの工夫で暑さを凌いでおられました。
洗面化粧台は本来化粧鏡が取り付くところに窓が付いていました。
大工さんが機転を利かせて、既製品の洗面化粧台の鏡収納部分だけを壁に取り付いていたのです。

 


天井裏に潜ると小屋裏部分に余裕がありました。この部分を開放して、勾配天井にし、 空間に縦方向にゆとりを持たせたリフォームを施しました。
その空間には新たに2帖程の箱を作り、中をウォーキングクローゼットとしました。
上部はスリーシーズンベッドルームにして暖かい睡眠を約束します。
打ち合わせ中にAさんが囁く声で「実は、秘密基地みたいな部屋に憧れているのです」との声に少しだけお答えしたカタチです。


夜のとばりを愉しむ設えとして絵画鑑賞壁とアッパーライトをつくりました。
天井が高くなった分、壁量が増えてギャラリーに大変身です。


階段状の棚を上るとスリーシーズン用ベッドルームが出現します。
人間の洞窟願望のようにコンパクトで囲まれた空間に身を置く事で落ち着いて作業を進めることができます


アンティークの机と着色した柱がとても馴染みます。使わないときには障子で閉じて空間をスッキリさせます。
秘密基地のようですね。


カウンター内に仕込まれた帯状のアッパーライトでカットガラスの輝きを何倍にも楽しめます。


ぼんやりするための装置。ライティングコントローラです。ボタンひとつで全灯などが出来ます。
ウォークインクローゼット内もダウンライトで快適です。


廊下や便所の壁や天井は全て珪藻土、蒸し暑い夏の夜など確実に体感温度が 違うといいます。

 

 

自宅の便所というものは機能とメンテナンス優先でシンプルな佇まいなものです。
でもほんのひと工夫で「自分へのご褒美」で泊まるような旅館のようになるものです。
こうすれば毎日、ご褒美もらえます。



化粧鏡が壁に90度取り付けられていた既製品の洗面化粧台を取外し、造りつけの洗面器と両側に収納を備えた
化粧鏡を設えました。鏡を開けばまた鏡があり、自然な姿勢で化粧鏡が使えるようになりました。


Aさんの部屋に佇んでいたガラスのオブジェもアイアンとともに玄関ホールの照明と蘇りました。
最後までお読み頂きありがとうございました。

 


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